自然素材で造る新築住宅・健康住宅の設計・施工・管理全般。愛知県名古屋市の竹川工務店

遮熱工法

遮熱とは

夏の夜、家の中はなぜ暑いの?

「熱帯夜」と呼ばれる最低気温25℃以上という暑さのなか、あまりの寝苦しさに外に飛び出したとき「あれ?外はこんなに涼しいんだ!」っと感じますね。
猛暑と呼ばれる夏でも夜は結構涼しいんです。
でも家の中はクーラー無しではいられないほど暑い。
なぜこうなるのでしょう?

A:それは家そのものが暑くなっているからです。

つまり日中屋根や外壁が太陽に熱せられ溜め込んだ熱を、部屋の中に放熱しているからです。
「でも窓を開ければ外の気温と同じになるんじゃないの?」と思われる方もいらっしゃるでしょう。確かに温度は同じになりますが、気温つまり空気の温度では なく、天井や壁の温度が高くなっていることが原因なのです。

熱の伝わり方は3つある

熱の伝わり方、つまり熱の移動には「伝導」「対流」「輻射」の3つの形態があります。

「伝導」

直接接触することで熱が移動することを指します。
例えば熱したフライパンで肉を焼く、カイロで体を暖ためるなどは伝導による熱移動です。

「対流」

空気を媒体に熱が移動することを指します。
例えば温風ヒーターで部屋を暖める、ドライヤーで髪を乾かすなどは対流による熱移動です。

「輻射」

電磁波(遠赤外線など)を放射して熱が移動することを指します。
例えば電子レンジで”チン”や、冬に風の吹く中ドラム缶で焚き火をしたときに暖かく感じるなどは輻射による熱移動です。

例えば冬、縁側で日向ぼっこをしていると、外気温が低くても身体がポカポカと暖まります。
また夏、トンネルの中に入ると身体がひんやり涼しく感じられます。
これらは外気温自体はほとんど変わりがないのに、太陽熱が身体に移動したり、身体の熱がトンネル壁面に移動することによって、身体に感じる温度が違ってくるからです。夏の夜、外は涼しいのに部屋の中が暑く感じるのは「輻 射」による熱移動が原因です。それは昼間太陽から放射される電磁波により屋根や外壁が熱せられ熱を溜め込み、夜になり屋根や壁が溜め込んだ熱が放射され、天井や壁を通して体にぶつかり熱を発生させるからなのです。つまりこの輻射(電磁波)を食い止めることが出来れば、夜の室内は屋外と同じ環境に近くなり、涼しく過ごすことができるのです。

高いから低いへ

熱は温度の高い方から低い方へ移動します。夏はクーラーで冷えた室内に屋外から熱が移動し、暖房で温まった室内から屋外へ移動します。

夏の日中、屋根の瓦は70℃以上、外壁は50℃以上にもなります。
(瓦や外壁の色により温度の差があります)この瓦や外壁から放射される輻射熱で室内の天井や壁が温められ、次にその熱が人体に向けて放射され体が熱くなります。
瓦や外壁に使用される建材は陶器やコンクリートで出来ており、蓄熱する特性に優れていますので夜間になっても温度は高く、屋外への熱放出(放射冷却)と同時に建物内部へも熱を放出し続けるため、夜間でも室内が屋外に比べ暑く感じることになります。

冬も日中、屋根の瓦や外壁は太陽からの輻射により熱せられますが、夏と比べて日照時間は短く日照角度もゆるくなるため、日中でも瓦や外壁の温度は室温を若干上回る程度にとどまります。
このため冬は暖房された室内の方が瓦や外壁よりも温度が高くなるので、暖められた室内の天井や壁から瓦や外壁そして屋外へ向けて輻射熱が放射され、これにより室内が冷やされるかたちとなります。
遮熱は冬も有効な働きをします。室内から屋外へ向けて放射される熱を遮熱すれば、室温は保たれるということです。

快適な空間を作るために、断熱性を高めることは言うまでもありませんが、輻射熱を抑える「遮熱」を取り入れることで、その効果は飛躍的に上がると考えられます。
遮熱による効果は、夏の日射については言うまでもなく、冬の暖房時に暖められた壁や天井、床から放射される熱を屋外へ逃がさないことで、エネルギー削減に大きく貢献します。

断熱と遮熱の違い

よく断熱と遮熱を同じように考える方がいますが、断熱と遮熱は違うものです。
断熱は「対流」「伝導」による熱移動に対して大変有効なものです。断熱材は空気の働きで熱の移動を遮断します。空気は熱伝導性が低い特性がある反面、対流を起こし熱を移動させる性質があります。断熱材はじっとして動かない空気(静止空気)を使い、対流や伝導による熱の移動を遮断します。対流による熱移動の例として、空気をたくさん含んだダウンジャケットは寒いスキー場でも体を暖かく包んでくれます。

伝導の場合は、熱くなった鍋を空気を含んだ乾いたタオル使って掴むことができます。ちなみに濡れたタオルで掴むとすぐさま熱くなり掴むことができません。このように空気(静止空気)を利用した断熱材は対流と伝導の熱移動に効果があります。

遮熱は「輻射」による熱移動に対して大きな効果があります。遮熱には金属幕を使用しますが、中でもアルミは輻射熱(電磁波)の反射に優れ、最大97%カットします。(一般の断熱材は反射率10%程度)遮熱の効果として太陽からの輻射熱の反射が最も期待されます。

太陽から放射される熱の46%が大地に吸収され、24%が雲と大気に吸収され残りの30%は反射されるといわれます。(大気環境概論)
つまり雲と大気が吸収し対流熱となった熱24%に対し、その約2倍に当る太陽から大地に放射される46%の輻射熱が私たちの住まいを熱くしているのです。このことから夏の暑さを防ぐには、断熱材の性能を上げげることである程度カバーできますが、輻射熱を抑えれば、より効果的だということです。
輻射熱を反射することはヒートアイランド現象を抑え、建物そのものの温度上昇を抑えますからクーラーの使用量も減少し、結果CO2の削減に貢献します。

遮熱材と木陰の違い

他社の遮熱材の涼しさの例えでよく「木陰のような涼しさ」と言われますが、本当に木陰と同じ効果があるのでしょうか?
遮熱材も木陰も同様に日陰を作り涼しく感じますが、同じようでも遮熱材と木陰が涼しい理由には違いがあります。それは「遮熱材は輻射熱」「木陰は気化熱」という違いです気化熱とは液体の物質が気体になるときに周囲から吸収する熱のことです。液体が蒸発するためには熱が必要になります。その熱は液体が接しているものからうばって蒸発します。

つまり木の葉は太陽に照らされて、葉の表面の水分が温度をうばって蒸発します。このため気化熱により冷やされた木の葉の下は他の日陰よりも涼しくなるので す。
ちなみに1gの水が蒸発すると540カロリーの熱量がうばわれることになります。最近、屋上に木を植えたり、花壇を作ったりするビルが増えてきましたが、この屋上緑化は都会に緑を増やしヒートアイランド現象を少しでも軽減する働きもありますが、実は木陰と同じで、気化熱を利用した天然クーラーの役割をしてくれます。

近年ヨーロッパで屋上緑化された住宅をよく目にしますが、日本でも昔から気化熱を利用し涼しさを得ていた住宅があります。それはカヤの屋根でできた合掌造りです。
カヤの屋根は雨を保水し、日照りのときに蒸発しその気化熱で涼しさを得ることができるのです。
扇風機が涼しい理由は気化熱を促進させる働きによります。それは風により身体の表面の汗などの水分が蒸発して、気化熱によって皮膚の表面温度が下がるからです。
遮熱材は輻射熱(電磁波)を跳ね返すことで熱の移動を抑え涼しさを得る、木陰は気化熱により熱を蒸気とともに発散することで涼しさを得るという違いがあります。

冬でも遮熱

「遮熱は夏は効果があるけど、冬は逆効果になって寒くなるんじゃないの?」と言われる方がよくいらっしゃいます。ところが遮熱は冬にも効果があるのです。
冬は屋外よりも暖房された室内の方が暖かくなります。
暖房には温風ヒーターのような「対流」を利用したものや電気カーペットや床暖房のように「伝導」を利用したもの、更には薪ストーブや遠赤外線ストーブのような「輻射」を利用したものがありますが、いずれにしても暖房することで室内の天井や壁、床を暖めることになります。温まった天井や壁、床は温度の低い屋外に向けて輻射熱を放出します。断熱材により対流熱や伝導熱はある程度抑えることは出来ますが、輻射熱を抑えることはほとんど出来ません。

屋内の熱移動の割合は対流が30%、伝導が5%、輻射が65%とも言われます。この輻射を止めない限り快適な空間をつくり出すには大きなエネルギーが必要となり、家計も苦しくなるばかりです。遮熱材はこの輻射熱を反射し、室内の暖房された熱を逃さない働きがあります。

最も恐ろしい結露

建物の不具合で最も恐ろしいものは”結露”です。
雨漏りは雨のときだけ発生しますが、結露は雨降りに関係なく発生します。結露により濡れた建物にはカビが 繁殖し、シロアリや木材腐朽菌などの発生により絶大な被害が予想されます。
結露は温度差によって起こる現象で、建物のあらゆるところで発生する可能性があります。
例えば冬に温まった部屋の空気が壁の隙間に入り、そこで冷やされて結露をおこす「壁体内結露」などがあります。また、結露は冬だけでなく夏でも発生します。湿った外気が冷房で冷やされた建物内部に入り込み床下や壁の中で冷やされ結露することがあるのです。

遮熱材の多くはアルミが使われます。アルミは熱伝導性が非常に高いので結露しやすい素材です。遮熱をする場合には必ず結露対策を取るようにしましょう。
結露を抑えるには、温度差の解消、そして湿度調整、換気が必要です。温度差を抑えるには「伝導」「対流」「輻射」の全ての熱移動に対応する必要があります。結露は思わぬことが原因で起こることがありますので、特に注意が必要です。

次に湿度調整は冬における暖房や、生活の中で発生する蒸気が対象として考えられます。暖房で注意することは石油ファンヒーターやガスファンヒーターのような、燃焼ガスを室内に放出する暖房機器の使用です。
灯油やガスは燃焼時に化学反応により水蒸気が発生します。このため室内に放出された燃焼ガスは多くの水蒸気を含んでおり、最も結露が起こりやすい暖かく湿った空気が室内に充満しますので気をつけましょう。

反射率97%で輻射熱をはね返す遮熱シート

輻射熱を家に溜めないためには、輻射熱をはね返す「遮熱」が必要です。しかしほとんどの建材は反射率が低く、外部の熱を吸収してしまいます。
そのため夏は暑く冬は寒いと言う結果になってしまいます。各種熱線をよくは反射する特性を持つアルミニュウムを使った遮熱シートは、約97%の反射率で太陽からの放射熱をはね返します。

遮熱シートと断熱材遮熱効果の比較実験

実験開始

室温は摂氏26.8℃でした。(6月中旬)

試験風景

同型の遠赤外線ヒーター2台を使用し、800Wの出力で同じ距離から各試験体の箱に照射。
箱の後ろに垂れ下がっている配線は、箱内部に取り付けてある温度計のセンサーを繋ぐものです。
*箱の大きさが違いますが、ピンクの高性能断熱材は厚みが40ミリで遮熱シートは8ミリのため、箱の内部の大きさを同サイズに合わするとこうなります。

■ 遮熱測定結果

高性能断熱材
温度変化 14.5℃
遮熱シート
温度変化 1.7℃

*両製品の温度変化の差は12.8℃という結果になりました。

遮熱施工例

竹川工務店

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